Z世代にウケるTikTokなぞ?「Z世代の夢がインフルエンサー」

Z世代にウケるTikTokなぞ?「Z世代の夢がインフルエンサー」


TikTok(ティックトック)は近年まれに見る成功を収め、いまや世界中で何百万人という若者がこのアプリを使っている。それはなぜだろうか?

TikTokはこれまで35億ダウンロードを達成している。(2022年7月現在)
その理由として挙げられるのが、TikTokのなかに広がる、現実離れした、無尽蔵にも思えるエンターテイメントの世界だ。デジタルコンテンツ専門家は、TikTokのターゲットはZ世代(10代中盤から25歳)だと分析している。それは初期の設計思想からも明らかで、TikTokは短い動画コンテンツが主で、使いやすく、ほかのSNSよりもバズりやすい特性を持っているのだ。
また、Z世代に見られる起業家精神やクリエイター精神にも、完全にマッチするといえる。

「誰にでもチャンスがある」

ショッピングに関するライブ配信アプリを提供するNTWRKで、商品担当ディレクターを務めるドレイク・レーフェルト氏は、次のように分析する。
「Z世代は動画プラットフォームの栄枯盛衰とともに育った世代だ。そんななか彼らが手間をかけずに自分たちを表現できて、大きな反応を得られるプラットフォームが大きな成功を収めてきた」。
また、TikTokの編集ツールは使いやすいため、
「TikTokのクリエイター率は、他のプラットフォームと比べ格段に高い数値を出している」という。

若者向けマーケティングコンサルティング起業のガールZ(GirlZ)のCEO、マディソン・ブレグマン氏は
「現在、世界中の子供が起業することや、インフルエンサーになることを夢見ており、TikTokはそんな時代を代表するプラットホームなのだ」と語る。
続けてマディソン・ブレグマン氏は、
「YouTubeやInstagramと比べて、TikTokのほうが簡単にフォロワーを増やすことができる」。

1年でフォロワー9,900万以上を獲得したチャーリーダメリオ

Z世代に関するリアルタイム分析プラットフォームを提供するゼブラIQ(Zebra IQ)のCEO、ティファニー・ツォン氏もまた、TikTokはインフルエンサーにとってバズらせやすいプラットフォームだと指摘する。
同氏は例として、昨年春にTikTokを使いはじめたばかりのダンサー、チャーリー・ダメリオ氏を挙げる。ダメリオ氏は1年足らずで9,900万人のフォロワーを集め、スーパーボウルのゴールデンタイムに放送されたサブラ(Sabra)のCMにも登場した。

同氏によれば、TikTokの”バズり”やすさはアプリ設計にも理由があるという。
「競争が公平で平等かつ、素人でも話題になるチャンスが溢れている。一般機能として、フォローしていないアカウントを勧める環境も整っている」と、同氏は指摘する。

「TikTokは変なことをすると喜ばれ、さらに”バズり”が生まれやすくなっている。他のプラットフォームでは完璧を目指さなければならないし、それでもなお埋もれやすい」。

「自信を持てるようになるツール」

マーケティングエージェンシーのゴール・ストラテジーズ(Goel Strategies)の創業者イーシャン・ゴール氏は、
「TikTokのアルゴリズムは、AIの自動判別により新しいコンテンツがバズり続けるように設計されている」と語る。

TikTokのコンテンツは比較的小規模なオーディエンス群に向けて届けられる。そこでシェアや再度の視聴、コメント、いいねなどで大きな数字を獲得したコンテンツは、より大規模なオーディエンスグループの目に増えるようになっている。これもバズりやすくするための仕組みだ。

TikTokで話題になり、インフルエンサーになることを目指すZ世代。Z世代のマーケティングコンサルタントのコナー・ブラックリー氏は、そんな彼らの動機について、不安感の裏返しではなく、楽しさを追求し、それを他者と共有したいからだと語る。「Z世代は、SNSについて、各ユーザーが一番良いと思えるものを投稿しているいわば『ハイライト場面集』のようなものだと理解している。彼らにとって不安感を解消するというより、もっと自信を持てるようになるためのツールなのだ」。

モバイル設計ツールキットを提供し、最近スクエアスペース(Squarespace)に買収されたアンフォールド(Unfold)の共同創業者アンディ・マクーン氏は、TikTokはインスタグラムの『ハイライト場面集』とは性質が異なると語る。同氏はTikTokのコンテンツについて「よりリアルで、生で、コメディーよりだ」と指摘する。「自己卑下のようなコンテンツすらあるし、ユーモアがあり、親近感を抱かせる動画が人気だ」。

マクーン氏は次のようにも述べている。「親近感が湧くような、本物の、生のコンテンツがある。だからユーザーは1日の終りにTikTokをスクロールして笑うのだ。『わかるわかる』と。これは非常に大きな魅力だ。個人的にTikTokのユーザーをたくさん知っているわけではないが、TikTokの魅力がそこにあるのは間違いない」。